みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

水平線を越えてゆけ!――6月29日横尾さんの俳句に寄せて

炎帝戦四天王ー!!
横尾さんを崇め奉り、褒めそやしたい!!(複合動詞)

 

6月29日のプレバト!!2時間スペシャルは、俳句特待生と名人によるタイトル戦。「炎帝」の称号を賭けて、9人が海の俳句で戦いました。兼題写真はただ海と空のみ、浜辺も船も雲も一切写っていないシンプルな写真。海って言ったら夏のイメージですが、海は夏の季語じゃないんですね。どんな海を詠むのか、どんな季語を使うのか、自由度が高いだけに難しい、上級者向けのお題で、横尾さんが詠んだ俳句がこちら。

 

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2017.6.29 お題「海」

 

籐椅子の 脚もとにある 水平線

 

炎帝戦4位(9人中)

季語:籐椅子(夏)

籐椅子(とういす)…籐(ラタン)でできたイス

水平線…体言止めで余情を残す。

 


いつも思うのですが、横尾さんの俳句の上五の衝撃。海にまつわる何を詠むんだろうと思っているところに「籐椅子」!海に寄っていたカメラが一気に引いて、今いる場所が旅館の室内だとわかる驚き。さらにそれが「あしもと」にあるのだと捉える発想。「水平線の彼方」という言い回しがあるように、「水平線」と言えば「遠い」と結びつけそうなものなのに、常識にとらわれない発想がすばらしいと思います。

 

おそらく横尾さんは兼題写真を見て、歳時記を片っ端から読んで、使えそうな季語をピックアップして、俳句を作っているのだと思うのですが、普通の人だったら、歳時記で「籐椅子」を見つけたとしても、「これは使えない、海とは関係ない」ってスルーすると思います。無数にある夏の季語の中で、海とは何の関係もない「籐椅子」をちゃんと拾って俳句を成立させる横尾さんの言葉を選ぶ感性は、本当にすごい。夏井先生のおっしゃる通り、俳句を作る時の横尾さんは、写真の中にいるのだと思います。ちゃんと実感として俳句を詠んでいる。

 

最近の横尾さんは、俳句では「海」と「籐椅子」を取り合わせ、「満開の桜」と「雨」を取り合わせ、キスブサでは「パン」と「燻製」を取り合わせ、「花」と「鍋」を取り合わせ…。普通は常識に囚われて思いもつかない、思いついたとしてもすぐ無理って却下してしまいそうなものなのに、取り合わせ方が神がかってる。考え方や発想が柔軟だし、普段から本を読んで勉強しているからこそ、頭の中にストックされたことが必要な時に出てくるのだと思います。

 

横尾さんの俳句は、前回の「花万朶」のように、はっと驚くような語句を使ったり、古典文法を駆使したりする俳句も、勉強の成果って感じで大好きなのですが、今回の、難しい言葉や文法は一つも使っていない、わかりやすい俳句も大好きです。言葉はわかりやすいけど、「水平線があしもと?」ってちょっと考えさせられて、ハッと意味に気づく面白さもあります。凝った言葉も、平易な言葉も、必要に応じて自由自在に使いこなす横尾さんが本当にすごいです。自慢の自担です!

 

このブログを書くために語句を調べていて、「水平線」の英訳、horizonは「範囲」「限界」という意味もあることを知りました。さらに、「遥か彼方」というイメージのある水平線は、三平方の定理を使って計算すると、岸からせいぜい4~5kmしか離れていないそうです。「アイドル界の俳句王」(と、番組で紹介された)横尾さんが、アイドルの「限界」や「範囲」を軽々と飛び越えてどこまでゆくのか、とても楽しみです。