みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

月は欠けゆくけど ―――9月21日横尾さんの俳句に寄せて

プレバト!!俳句査定での横尾さんと言えば、夏井先生も認める「一番の季語の使い手」。これまでの俳句でも、「籐椅子」「花万朶」「凍原」「星祭」…私も、横尾さんのおかげで初めて知った季語がたくさんあります。おそらく横尾さんは歳時記を熟読して、季語をピックアップして俳句を作っているのだと思います。しかし今回は「秋の暮」。和歌にも「三夕の歌」があるように、詩歌の世界では定番中の定番であるこの語を使って、横尾さんらしい俳句を詠むことができたのか、番組予告で上五が発表されたときからドキドキして放送を待ちました。

 

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2017.9.21 お題「月と大仏」

秋の暮 街路に鳩の ふくみ声

 

名人昇格試験(名人2級昇格)

季語:秋の暮(秋)
街路…市街地の道路
ふくみ声…口の中に音がこもっているように聞こえる声。体言止めで余韻を残す。

 

「大仏と月」というお題に対して横尾さんが詠んだのは、そこには写っていない「鳩」。大きくて、人々の視線を集め、称えられる存在である「大仏」に対して、小さくて、ほとんど誰にも顧みられることのない、ありふれた存在である「鳩」。そんな小さな命にスポットを当てる横尾さんの、温かく、繊細で、そして他の誰とも違うまなざしを感じました。「ふくみ声」という表現は初めて聞いたのですが、辞書を引くと「口の中に音がこもっているように聞こえる声」。鳩の鳴き声を表現しているわけですが、「活舌悪い」「何言ってるのかわからない」と言われがちな横尾さん自身を重ねているのでは…と言ったら深読みしすぎでしょうか?

 

偶然にも数か月前、20年ぶりぐらいに鎌倉の大仏様を拝観しました。住宅の間をすり抜けるような江ノ電に乗り(もちろん横尾さんの「行け行けど迷路のごとき花の路」を思い出しながら)、商店街を歩いて、境内に入ったらすぐ大仏様と対面で、広大な庭と建物をぐるっと歩いて対面する奈良の大仏様とはずいぶん違うなあと思いました。横尾さんの俳句には大仏も月も言葉では登場しませんが、「街路」という言葉で市街地のすぐそばにある大仏様を、「鳩」でお寺の境内を、鳩の鳴き声が聴こえるという表現で静けさを、暮でも鳩がわかるという表現で月を感じさせる挑戦も見事でした。

 

そして、CMあけに一瞬だけ流れた音楽が「Mother Moon」だったことにも胸を突かれました。いつもキスマイメンバーが出る時に、キスマイの曲を使ってくださるプレバトスタッフ様には感謝と、数あるキスマイの曲の中でここでこの曲を使うセンスへの賞賛の気持ちでいっぱいです。

 


離さないよ 離さないよ
月は欠けゆくけど
僕の誓いは
変わることのない強さ

 

 ――「Mother Moon」 

 

私のこの「みかんいろの月」というブログ名は、「みかんいろ」は横尾さんのメンバーカラーであるオレンジ色から、「月」はどんなに手を伸ばしても決して届かないアイドルという存在から名付けました。月って、毎日光を振りまく太陽とは違って、欠ける日も、見えない日もあるし、夜空に輝いていても視界に入らない人もいる。だけど、光の当たり方によって、私たちから見た姿が違って見えるだけで、月自体はいつも何も変わらない。横尾さんってそんな人だと思います。

 

欠けゆく日があったとしても、絶対また満ちるから、その手離さない。時を超え、夢を超え、君と共に歩こう。月の光が今夜も横尾さんを包みますように。