いつでも君の世界がピースであるように ―――1月3日横尾さんの俳句に寄せて
あけましておめでとうございます。
今年も横尾さん好き好き言ってるだけのブログにしたいと思います。「好き」の後に「なのに」も「だけど」もつけないようにしたいです。
さて、今日はのどかなお正月気分もふっとぶプレバト!!冬麗戦。昨年の冬麗戦は屈辱の7位に沈み、今回はライバル千賀さんも予選を突破した中で、負けられない戦いとなった横尾さんがどんな俳句を詠んでくるのか「初」緊張と「初」祈りしながら番組を見ました。
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2019.1.3 お題「結露」
雪晴れや エース区間の 九人抜き
冬麗戦4位
季語:雪晴れ(冬)
雪晴れ…雪がやんで晴れること
や…切れ字(意味を切って、直前の語を強め、詠嘆の働きをする)
「結露」という難しいお題に対して、暖かい室内の光景へ発想を飛ばした横尾さん。以前にプレバトの俳句では、放送日を意識するとおっしゃっていたことがあるので、1月3日放送ということで、箱根駅伝をテレビで観戦している光景に結び付けた発想の仕方がさすがだと思います。
私がこの句で感心したのは、具体と抽象の使い分けです。お正月の番組なのだから、季語は「初晴れ」等にする手もあったと思うのですが、そこは正月に限定せず、年末の高校駅伝や地元の小さい駅伝大会でも当てはめられる普遍性を持たせることで共感が広がります。逆に、「エース区間」「九人抜き」は具体的に限定することで作者が今、確かにそれを見ているという臨場感を出すことに成功していると思います。例えば「九人抜き」のところ、凡人だったら「ごぼう抜き」とか「疾走」とか言ってしまいそうだけど、「九人」と具体的に言い切ったところにリアリティを感じました。
そして、ドラマの作り方。「雪晴れ」という季語には、前日雪が降っていて「明日の大会大丈夫かな…」と気を揉んだけれど、当日は晴れてほっとしている光景が見えるし、「九人抜き」ということは、(箱根駅伝の場合エース区間は2区なので、)おそらく1区の選手が出遅れてしまい、襷を受けたエースが「あいつが遅れた分を俺が取り返す」と熱い思いを持って力走している光景が見えます。「エース区間」ということは、チームで一番期待されている選手が、見事に期待以上の走りをしたということで、走る前の緊張感やレース中の高揚感、チームのホッとした雰囲気まで感じられます。具体的な言葉を使うことで情景が想像できるし、抽象的にぼかすことで、たくさんの人が共感できる。そのバランスをとる言葉選びのセンスが見事だと思いました。
横尾さんは、自分の俳句を説明して、「すごい選手たちを見て、自分もがんばっていかなきゃなって決意を固める句」とおっしゃっていました。歌ったり踊ったりマグロの解体したり俳句詠んだりする横尾さんを見て、私が「私もがんばろう」って元気と勇気ともらっているのと同じように、横尾さんも駅伝や高校野球を見て元気と勇気をもらっているのだと思うと、胸が熱くなります。
そして年末のミュージックソンを思い出しました。誰かががんばっていたり、誰かを応援したり、誰かに感謝したりするのを見たり聞いたりするだけで、全然関係ないはずの自分まで心が動かされ、幸せな気持ちになれました。真夜中のLiveで久しぶりに聴いた「KISS&PEACE」の「いいことひとつしたら、ひとついい世界になる」という歌詞の世界とこの俳句の世界がつながる気がしました。
結果は4位で横尾さんは悔しそうでしたが、夏井先生が4位までは特に優秀句だとおっしゃった4位に入れたこと、幸先良いスタートだと思います。2019年も横尾さんのすばらしい俳句がたくさん聞けますように。そしていつでも横尾さんとKis-My-Ft2の世界がピースでありますように。*1
*1: Kis-My-Ft2「KISS&PEACE」