みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

風、風、吹くな ―――3月14日横尾さんの俳句に寄せて

3月14日のプレバトは、横尾さんが久しぶりに通常回に登場する回。番組では9か月昇格なしでスランプみたいな言われ方でしたけど、違うんです、9か月で2回しか通常回に呼ばれてなかったんです(タイトル戦は3回あったけど)。そういうわけで、久しぶりの通常回、いったい横尾さんがどんな俳句を詠むのか、緊張して見ました。

 

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2019.3.14 お題「春の引越」

 

地下鉄に 迷い込んだ シャボン玉

 

現状維持

季語:シャボン玉(春)

迷い込んだ…本来7字であるべきところを6字にする「字足らず」 

 

 

発表された瞬間、心がぞくっとした。「地下鉄」という閉鎖された空間、「迷い込む」という不安をあおる動詞、すぐに割れてしまうはかない「シャボン玉」。字足らずの技法を使うことで、さらに不安定さが強調されています。地下鉄にシャボン玉が浮かんでいる図も、非現実的で、異世界に誘われるよう。

 

最初は藤本さんが言うように、「引越」というテーマから発想を飛ばし過ぎているのではないかと思いました。でも、シャボン玉は、都会に出てきて慣れない地下鉄に戸惑う若者の比喩であるという横尾さんの説明を聞いて、納得しました。夏井先生は、字足らずをよしとせず、添削が入りましたが、私は、慣れない生活の不安さと、字足らずがもたらす不安定さがよく合っていて上手いと思いました。

 

世間では、春と言えば、入学に引越にお花見。明るく新しく楽しいイメージだけど、横尾さんが詠む春の俳句は「春愁の言わで別れし日の記憶」とか「行け行けど迷路のごとき花の路」とか、寂しく不安なイメージの俳句が多い印象があります。春が待ち遠しい人ばかりじゃない。不安や戸惑いを抱えたまま、新しい生活に飛び込んでいかなくてはならない人もいる。私も、自分の異動はなかったのですが、職場で一番仲が良い人が4月から別の職場に異動することになり、春風が吹くたびに胸が締め付けられるような思いがします。春なんか来なければいいのに。そんな春を楽しめない少数派の気持ちに、寄り添ってくれるような俳句だと思いました。

 

そして、横尾さんの俳句に「Kis-My-Ft2」を感じました。「地下鉄」は「君、僕。」の冒頭「黄色い地下鉄が…」につながるし、「シャボン玉」は、dTVの「キスマイどきどきーん」のメイキング(「君を大好きだ」の特典映像)で、宮田さんにシャボン玉を吹き付けられていたのを思い出すし、「シャボン玉」の玉は玉森さんの玉でもあります。番組で千賀さんと北山さんの話も出たし、(藤本さんとの絡みは「藤横」だし、)番組に出て俳句を詠むのは横尾さんだけど、キスマイでの経験が横尾さんの俳句を強くしているような気がします。

 

そう考えると、光を反射して七色に輝くシャボン玉は、キスマイなのかもしれない。事務所をめぐる様々な報道を見ていると不安になることもある。アイドルなんて儚いものだとわかってはいる。だけど、迷宮のような芸能界で、どうか風よ吹かないで、いつまでもシャボン玉がきらめいていますように。