みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

言葉を信じる ―――7月11日横尾さんの俳句に寄せて

昨年の6月以来、プレバトの俳句査定でずっと昇格がない横尾さん。でもね、本人の名誉のために強調しておきたいのは、ほかの方々に比べて横尾さんの出演回数が極端に少ないんです。この1年間で通常回の出演は、4回しかなかったんです。でも横尾さんが覚悟を決めて「今日昇格できなかったら炎帝戦は予選から参加します」って言うものだから、緊張感MAXで番組を見ました。

 

*****

2019.7.11 お題「夏の日光ハイキング」

 

ひまわりや 廃線沿いの ラーメン屋

 

季語:ひまわり(夏)

や…切れ字(表現を断ち切り、余情を生み出す)

 

 

俳句には「二物衝撃(取り合わせ)」という、一句の中で季語と別のものを取り合わせることでお互いを引き立たせ、感動を生み出すという作り方があります。その二つが近すぎても、離れすぎていてもダメで、センスのいる作り方ですが、今日の横尾さんの俳句はその上を行く「三物衝撃」(そんな言葉はないけれど)。「ひまわり」「廃線」「ラーメン屋」なんて、まるで意地悪な三題噺のように無関係な三つの名詞が、横尾さんの手にかかれば、魔法のように美しい俳句となって、物語が立ち上がる。

―――かつては、沿線の工場の日勤を終えた人や、夜勤に向かう人で賑わっていたラーメン屋。工場が閉鎖され、鉄道も廃線となってしまった今は、すっかり客足が遠のいてしまった。それでも老齢の店主は、この店のラーメンを愛する客のために今日も店を開ける。庭先に咲くひまわりのように、健気に、一途に…。

 

廃線」を取り合わせたことで、寂れてしまったラーメン屋の現状を表し、「ひまわり」を取り合わせたことでそれでもがんばっている前向きな気持ちを表す。そしてひ「ま」「わ」り、「は」いせん、「ら」ーめんとあ段の多い言葉で、あたたかく明るい響きを生み出していることも、偶然ではなく、よく検討した結果なのだと思います。情景を描いただけのシンプルな俳句に見えるけれど、そこに確かに作者のあたたかい目線が感じられる句だと思いました。

 

結果は昇格!夏井先生にも「対比から生まれる映像と味わい」を絶賛されました。先日のキスマイbusaikuスペシャルに引き続き、いつもクールな横尾さんが感情を爆発させて喜ぶ姿を見ることができて本当に幸せです。そして、夏井先生が「言葉を信じないとできない」とおっしゃったことに胸を衝かれる思いがしました。

 

6月にジャニーズwebのわったー写真館から、不意に言葉が消えた時、自分でも思いがけないぐらい動揺してしまって、打ちひしがれました。でも、プレバトで横尾さんが俳句を詠むたびに、横尾さんは私が思うよりもずっと、言葉に対して深い思いを持って使っているのだと知るから、横尾さんが語らない時は、たぶん横尾さんの気持ちを表す言葉がない時なのだと思う。こんなに素敵な言葉を紡ぐ人なのだから、私はもう横尾さんの言葉を信じて待っているしかないのだと思いました。