みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

毎日がパラダイスではないけれど ―――11月12日横尾さんの俳句に寄せて

プレバトでは、炎帝戦、通常回、東大王チームとの対戦、金秋戦、と、この5カ月、毎月横尾さんの俳句が読めて、結果云々の前に、まずそれがとても嬉しいです。しかも横尾さんはこのところずっと好調をキープしているので、きっと今日も大丈夫と、ワクワクしながら番組を見ました。

 

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2020.11.12 お題「7時過ぎの時計」

 

流星のターミナル 三分で蕎麦

 

金秋戦 2位

季語...流星(秋)

ターミナル…鉄道やバスなどの終着駅、乗り換え駅。

 

1位2位と最下位の発表が残される展開もしびれましたけど、2位で横尾さんの名前が呼ばれて、「流星のターミナル」まで披露されて、夏井先生の「ここが横尾さんの成長した点です」というコメントを差し挟んでCMに入るこの構成!CM中ずっと考えましたが全く展開が読めなくて、CM後披露されたのは「三分で蕎麦」。前半は「流星」と「ターミナル」というロマンチックな言葉で、どんなドラマが描かれるのかと思ったら、後半はまさかの、駅のスタンドで乗り換えまでの三分間で慌ただしく蕎麦をかきこむという、ユーモラスで庶民的な光景で、落差に驚き、クスっとさせられました。

 

「流星」「ターミナル」「三分」「蕎麦」という4つの単語を最小限の助詞「の」「で」二つで的確につないで、十七音のうち十五音を情景描写に費やしているのがさすがだと思います。動詞を一つも使っていないのに、「旅行する」、電車やバスを「降りる」、星空を「見上げる」、蕎麦を「かきこむ」、乗り換えを「急ぐ」という動作がちゃんと見えます。秋の田舎の夜の空気の冷たさや、はふはふしながら食べる蕎麦の熱さも伝わってきて、たった十七音とは思えない豊かな情景が伝わってきます。

 

横尾さんが説明したとおり、乗り換えの合間に立ち食い蕎麦で食事をする光景なのですが、そのまま横尾さんのアイドルとしての一面と、庶民としての一面に重なるような気がしました。横尾さんが仕事の合間のケータリングで、必ずカップ焼きそばを食べるのは、横尾担はみんな知っている話です。(そしてそれを見て北山さんが「一口ちょうだい」と言うことも。)素敵な衣装を着て、流星のようなスポットライトやカメラのフラッシュを浴びるスターとしての横尾さんと、休憩中に100円で買えるようなカップ焼きそばで慌ただしく小腹を満たす庶民としての横尾さん。もちろんライブやメディアでキラキラしている横尾さんも素敵ですが、私服は「わたわたタウン」や「わたクロ」(アイドルにつき固有名詞は回避)で買っているとか、納税がたいへんとか、秋刀魚が高いとか、気取らない一面をいつも見せてくれる横尾さんが大好きなんだと改めて思いました。

 

先日「徹子の部屋」に、夏井先生が出演された回を、興味深く拝見しました。夏井先生の「俳句は人生の杖。困難に陥った自分を客観視する視点を手に入れると、悲しみに溺れないですむ。自分を句にすることで立ち直ることができる」というお話がとても心にしみました。今日の俳句も、まさに自分の客観化。アイドルのお仕事って毎日がパラダイスというわけではなくて、私たちにはわからない辛さや苦しさもたくさんあると思うのですが、俳句によって手に入れた自分を客観視する視点が、横尾さんを少しでも支えてくれたらいいなと思います。そして、アイドルで庶民でマグロ解体師で俳句名人でペット介護士という多彩な顔を持つ横尾さんが、自分を客観視したらどんな俳句ができるのか、冬麗戦が楽しみで仕方ありません。

 

 

※タイトルは、Kis-My-Ft2「MAHARAJA」の「毎日がパラダイス そんなものはどこにもありはしないけど」から流用しました。