みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

同じ空見上げて ―――11月10日横尾さんの俳句に寄せて

先週に引き続き、今週も横尾さんの俳句が読めるなんて。9月からの3カ月で6句目。そろそろ過剰摂取でなんかおこるんじゃないかと思いながら番組を見ました。

 

*****

2022.11.10 お題「ドライブスルー」

 

冬の星 信号待ちの ポテト2本

 


永世名人への道 1つ後退(星2つ)

季語…冬の星(冬)

 


いつも感心する、横尾さんの使う数詞の的確さ。「流星のターミナル三分で蕎麦」や「八合目のドラム缶風呂シャーベット」など、これより数字が大きくても小さくても印象が変わってしまう絶妙な数字を設定していると思います。「ポテト2本」も、「1本」だったら、買って帰る途中でつまみ食いという感じになってしまうし、「3本」だったら普通に食べている感じ。信号が赤になった隙に急いで口に運ぶポテト2本、まだ信号が変わっていないかと見上げた先には冬の星が輝いていた…。ドライブスルーで晩御飯を済ませるような、慌ただしい生活の中にふと見つける小さな幸せを詠んだ俳句に、私の気持ちも安らぐような気がしました。

 

しかし、語順を注意されて、査定は初めての一歩後退。「ポテト2本」をとても褒められたのに後退だなんて、本当に厳しいところで戦っているのだと思います。

 

前回の「金秋のローンチ駅のおむすび屋」もそうでしたが、横尾さんの俳句って動詞や形容詞、形容動詞が少なくて、名詞と助詞だけで構成されていることが多いのが特徴と言えるのかな。今回もポテトを「食べる」、短い時間に「急ぐ」、信号と夜空を「見上げる」という動作がしっかり見えますし、星がくっきり見えるような冬の冷たい空気も感じることができます。

 

「空を見上げる」と言えば、プレバトが終わってすぐ「ベストヒット歌謡祭」で初披露された、Kis-My-Ft2、30枚目のシングル曲「想花」の一節

 

どうか未来が永遠に咲きますように

同じ空見上げて想っているよ

 

遠く離れていても空はつながっていて、私たちは今、同じ星を見ている。使い古された言い回しではあるけれど、そんな当たり前の事実に心が救われる時もあります。「永遠に続くものなんて何もない」と思い知らされた今は特に。永世名人という大輪の花が咲きますようにと遠い空から想いつづけています。