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みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

横尾さんの俳句で学ぶ古語文法

俳句

ブログに横尾さんの魅力を書こうとするたびに、自分の文章力のなさに愕然とする私ですが、一応、大学では文学部に籍を置いていました。理系の友人にはよく「文学なんて学んで、将来何の役に立つの?」と小馬鹿にされたものです。その時はうまく言い返せませんでしたが、今なら言える。

 

「好きな人が俳句詠んだときに、正確に理解するためだよ!!」

 

いったい、これ以上に重要な理由が存在するでしょうか?

 

木曜19時~毎日放送系列「プレバト!!」の「俳句の才能査定ランキング」での横尾さんの俳句は高く評価され、今や「特待生」にまで昇り詰めました。回を重ねるごとに高度な技を使いこなしていく横尾さんに、辛口の夏井先生も「よく勉強している」と大絶賛しています。

そういうわけで、若き逸材(と番組内で紹介された)横尾渉大先生が今まで「プレバト!!」の中で披露してきた俳句を文法的に解釈したいと思います。

 

(と、大見得を切ったものの、俳句は専門ではないので、解釈に誤りがあったら申し訳ございません。また、夏井先生の講評は、放送時に見ましたが、見返してないので、同じことを言ったり、違うことを言ったりもしていると思いますが、ご容赦ください。と先に謝っておきます。)

 

*****

 

◇2015.7.16 お題「夏の海と江ノ電」 

 

サングラス 外して対す 海の青 

 

才能アリ2位(78点)

季語:サングラス(夏)

対す…サ行変格活用終止形、「対する」の文語形

海の青…体言止めにより余情を残す

 

とにかく「対す」という言葉の使い方が光る一句。凡人だったら「見る」とか「眺める」とかの言葉にしてしまいがちだけど、「対す」にしたことで、大自然への敬意やそれに1対1で向き合う凛とした姿勢まで見える。そして「海の青」これも凡人だと「青い海」にしてしまうところなんだけど、「海の青」としたところで、「青」が強調されて、晴れた夏の海の映像が目に浮かぶ。サングラスを外して、海の本物の青さを見ようとするところにも、横尾さんの性格があふれ出ている。

 

 

◇2015.7.30 お題「真夏のひまわり畑」 

 

夏帽子 夜行列車の 網棚に

 

才能アリ2位(75点)

季語:夏帽子(夏)

 

まず、ヒマワリと麦わら帽子の少年の写真を見て、全く別のドラマを作り上げた横尾さんの発想力がすばらしい。夏帽子を夜行列車の網棚に乗せたまま、忘れて降りちゃって、あの夏帽子、どうなったんだろう…っていう幼い日の思い出。夜行列車って横尾さんは乗ったことあるのかどうかわからないけど、レトロな語を持ってきたのが句の調べとも合っていて美しい。動詞を一つも使っていないのに、ちゃんと動作が見える。

 

 

◇2015.10.1 お題「秋の棚田」 

 

秋の夜の 酒に肴は 選ばざる 

 

才能アリ1位(70点)

季語:秋の夜(秋)

ざる…打消の助動詞「ず」の連体形。「選ばざる」で「選ばない」という意味。連体形で終止することにより、余情を残す(体言止めと同じ効果)

 

実りの秋は食べ物が何でもおいしくて、酒の肴を何にしようか選ばなくても、何でも肴になるなあという句。この句も、棚田の写真を見て酒の肴につなげる発想力がすごい。口語では使わない「ざる」を持ってきたところもすばらしい。「選ばない」だと格調が下がってしまう。好き嫌いせずに、何でもおいしく食べている横尾さんの人柄みたいなものまでにじみ出る句。(実際にはきゅうり食べられないけど、きゅうりは夏だからいいの!)

 

 

◇2015.11.26 お題「紅葉の京都南禅寺

 

 紅葉散る 京都は冷たき 雨の中

 

特待生昇格試験(現状維持)

季語:紅葉散る(秋)

冷たき…形容詞ク活用連体形、「冷たい」の文語形

雨の中…体言止めにより余情を残す。

 

まず、晴れ渡る紅葉の盛りの南禅寺の写真を見て、想像の中で雨を降らし、紅葉を散らす横尾さんのセンス!!紅葉から京都、そこに降る雨と視点が広がっていくのもよく考えられている。口語の「冷たい」ではなくて「冷たき」にしたところも、京都という地名のイメージ、雨のイメージとよく合っている。それでも「現状維持」だったのは、作者の気持ちや人柄が句から透けてこなかったのが原因なのかな。

 

 

◇2016.1.21 お題「温泉につかる猿」

 

湯につかり 人も猿も 佳き元旦

 

特待生昇格試験(現状維持)

季語:元旦(新年)

佳き…形容詞ク活用連体形、「佳い」の文語形

元旦…意味は「1月1日の朝」。体言止めにより余情を残す。

 

前回「無難」と評された反省を生かして、上の「湯につかり」が5音、中の「人も猿も」が6音、下の「佳き元旦」が6音で、合わせて17音にするという大技を繰り出す!!「元旦」という季語も、おそらく歳時記読んで引っ張ってきたんだなと思うと愛おしい。しかし、「湯につかる」という上五が説明的すぎたのか、現状維持。

 

 

◇2016.2.25 お題「菜の花列車」

 

春愁の 言わで別れし 日の記憶

 

特待生昇格試験(ワンランク昇格!)

季語:春愁(春)

春愁…意味は「春の愁い。春に物悲しい気持ちになること。」

で…未然形に接続する、打消の意味を持つ助詞。前の言葉を打ち消しながら次につなぐ。「言わで」で「言わないで」という意味

し…過去の助動詞「き」の連体形。「別れし」で「別れた」という意味

記憶…体言止めにより余情を残す。

 

春爛漫の菜の花咲き誇る写真を見たら、普通は春の美しさや喜びを歌いますよね?「ひゅるりら」とか浮かれた言葉の一つも出ちゃいますよね?(©北山さん)それなのに「春愁」。春の日に思いを告げないまま別れてしまった人を思い出して、春が来るたびに胸がしめつけられるような記憶がよみがえる…っていうストーリーを描いてしまう横尾さんの発想力ってどうなってるの?!その切ない記憶に「言わで」「別れし」という古語の語感がよく合っている。文句なしの昇格!!

 

 

◇2016.3.10 お題「教室と桜」

 

卒業の君 まなざしの 大人びて

 

特待生昇格試験(現状維持)

季語:卒業(春)

大人びて…「大人びる」は外見や態度が大人らしくなること。

 

桜満開の写真を見て、桜のことなんか一言も言わないこの横尾さんのセンス!甥っ子の卒業式で凛々しい顔を見て、また一歩大人になったんだなと感慨にふける。普通のセンスなら、成長を表すのは「背が伸びた」とかになるんだろうけど、「まなざし」だけにクローズアップしたことで、甥っ子の成長が嬉しくもあり、なんとなく寂しくもある渉おじちゃん(!)の愛情たっぷりのまなざしまでも感じることができる。「卒業の君/まなざしの/大人びて」と、句またがりにもチャレンジしている。でも「大人びて」が主観的であるとされて現状維持。

 

***** 

 こうやって並べてみると、写真を見て、他の人とは全く違うストーリーを描ける横尾さんの発想力に驚かされます。そして言葉選びの的確さ。センスは最初からよかったけど、古語文法や俳句の技法は勉強しなきゃ使いこなせないから、夏井先生が何回も言うように、横尾さんは本当によく勉強してるんだと思います。昇格して横尾さんが「勉強は大事なんだよ!」って叫んだこと、夏井先生が「努力積み重ねるって本当カッコいいと思います」っておっしゃったこと、手帳に書き留めて、時々見返してます。

 

明日は久しぶりに横尾さんが「プレバト!!」にご出演されます。昇格試験の結果はどうであったとしても、いつも驚きと感動をもたらしてくれて、努力ってすばらしいと感じさせてくれる横尾さんの俳句が楽しみで仕方ありません。