みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

黄昏、水平線のオレンジ ―――9月2日横尾さんの俳句に寄せて

7月、8月、9月とこのところ毎月プレバトに横尾さんが登場していて嬉しい。前回久しぶりに昇格して名人7段となった横尾さんが、2カ月連続で昇格となるのか、楽しみに番組を見ました。

 

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2021.9.2 お題「実家の柱」

 

父からの返球 身に入(し)む黄昏(たそがれ)

 

現状維持

季語…身に入む(秋)

身に入む…秋の冷気やものさびしさが、身にしみるように感じること

黄昏…日没直後、西の空がオレンジ色に染まる時間のこと

 

 

横尾さんによると「身に入む」という季語をどうしても使いたかったとのこと。この言葉が秋の季語だということを今回初めて知りました。「身に入む」だけでも「さみしさ、冷たさが」という意味を含むし、「黄昏」という言葉も「盛りは過ぎた」という意味で使われることがあります。「身に入む」ものが「父からの返球」でもあり「黄昏」でもあるように読めるのですが、「身に入む」と「黄昏」があまりにも響き合いすぎるのと、「返球」も「父からの何らかの重大な返事」の比喩のようにも思えて、横尾さんが意図する以上にドラマチックな俳句になってしまったような気がします。

 

披露された瞬間、というよりお題が発表された瞬間から、キス担はある曲が思い浮かんだことと思います。横尾さんのソロ曲「キャッチボールをしよう」。お父さんとの一度きりのキャッチボールを思い出しながら、自分と父を重ね合わせてお父さんの気持ちを理解し、お父さんに感謝する曲。今日も「父とは一度しかキャッチボールをしたことがない」という、曲と同じエピソードが語られていました。

 

この曲は8thアルバム「FREE HUGS」収録曲で、メンバーが1曲ずつソロを披露しているのですが、趣味に走る人あり、切なく歌う人あり、カッコよくきめる人ありの中で、横尾さんの選んだテーマは「お父さんへの感謝」。寡聞にして存じ上げないのですが、男性アイドルで1曲まるまる父への感謝を歌った人って他にいるのでしょうか。しかも「いっぱい持ち曲あるから、ちょっと変わった曲も入れるよ」じゃないんです。3曲しかないソロ曲のテーマが、「弁当作る」「父への感謝」「兄への感謝」ってどうなってるんだ。やっぱり横尾さんって面白いな…。

 

それで、久しぶりに「キャッチボールをしよう」の歌詞を見返していました。歌詞に歌われる「寡黙で、不器用で、小言も言うけど本当は優しい」お父さんと、現実の横尾さんが見事に重なるのですが、「お祝い事やプレゼントとか照れて受け取らないけど」でちょっと噴いた。前はコンサートと誕生日が重なっても俺なんかのために時間使わなくていいよーと照れていた横尾さんが、最近は開き直って、メンバー全員から誕生日プレゼントに現金せしめるって、どんなアイドルよ。本当に横尾さんって面白いな…。

 

ところで、昨日の「今夜くらべてみました」本当に面白かったです。横尾さんのジブリ愛が溢れかえるトークもすばらしかったし、ジブリ飯クッキングもよかった。ジブリ飯って、ラピュタのパンかな?魔女の宅急便のニシンのパイかな?と思っていたら、まさかのゲド戦記の赤いスープっていうのも渋くてよかった。

 

ゲド戦記は父親殺しの物語です。心理学では、成長過程において、男の子は自分の父親を精神的に乗り超える必要があり、このことを象徴的に「父親殺し」と呼んでいます。幼い頃は父からの愛情を当然のことのように受け止めていたけれど、大人になって父の想いに気づき、感謝の気持ちを持てるようになることも、父を乗り超えるということなのだと思います。そう考えると「キャッチボールをしよう」という曲は、横尾さんのゲド戦記と言えるのかもしれません。

 

そのゲド戦記には黄昏の印象的なシーンが登場します。

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スタジオジブリ公式HPより。
このシーンは、キスマイナガサキで北山さんが訪れた長崎県九十九島をモデルにしているという説があります。

不器用なところもあるけど、生真面目に、10年間仕事してきた横尾さんの個性が開花して、黄昏のように空をオレンジに染める秋が来ますように。

 

 

※タイトルはKis-My-Ft2「Shalala☆Summer Time」の歌詞から引用しました。