みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

もうすぐに雨も上がり虹は架かるだろう ―――7月23日横尾さんの俳句に寄せて

炎帝戦予選ABブロックのお題が「封筒」と聞いたときは、へえーどんな俳句になるか楽しみーとのんびり思っていたのですが、プレバト総合演出の水野さんの「俳句の情景カットである映像を流します。ファンの方は何度も見た映像なのかもしれませんけど、僕は初めて見ました。」というツイートを見て心拍数が跳ね上がりました。横尾さん、あのことを詠むんだ…!

 

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2020.7.23 お題「封筒」

 

夕虹や デビュー知らせし 茶封筒

 

予選Aブロック2位

季語…夕虹(夏)

夕虹…夕方の虹

や…切れ字

知らせし…「し」は過去の助動詞「き」の連体形。「知らせた」という意味

 

 

Kis-My-Ft2は、2011年2月12日、ライブ中に突然茶封筒を渡され、デビュー決定を知らされました。メンバーとファンが同じタイミングでデビューを知り、喜びを分かち合ったこの日を、キス担は「茶封筒の日」と呼んで大切にしています。私は5年前にファンになったので、当時はまだキスマイの存在も知らず、ライブ映像でそのシーンを見ました。今だったらファンに伝えるためにすぐ声に出して文面を読むと思うのですが、7人とも全然気が回ってなくて、手紙を見るなり走り回ったり、抱き合ったりして、声にならないまま喜びを爆発させる姿が、リアルで、初々しくて、何度見ても喜びと興奮が伝わってきます。そんな、メンバーとファンだけが大切にしているあの瞬間を、横尾さんが俳句に詠んで、お茶の間に届けてくださったことに胸が熱くなりました。

 

そして「夕虹」。キスマイは7人だから「虹」。夕方に架かる虹ということは、夕立が降った後に日が射して虹が出たのだとわかります。キスマイは下積みも長く、後輩にデビューの先を越され、土砂降りの夕立のような先の見えない日が長く続いたことと思います。でも雨は上がり、虹がかかった。そして、「朝虹は雨、夕虹は晴れ」ということわざのように、デビューしてからは順風満帆…ではなかったですが、誰も欠けることなくもうすぐデビュー9周年を迎えます。

 

夏井先生はよく「今の自分にしか詠めない句を」とおっしゃっていますが、「自分の思い」と「誰にでも伝わる」を両立するのは、とても難しいことなのだと思います。この俳句も私たちキス担が読めばすぐに情景がわかりますが、知らない人にも伝えるために、おそらく上五をどうするか、横尾さんは相当悩んだのではないかと推測します。夏井先生が「あえて直さないでおきましょう」とおっしゃったのは、もっと情景を伝える言葉がある中で、どうしても「夕虹」でなくてはいけなかった、横尾さんの想いを汲んでくださったのだと思います。

 

結果はジュニアさんの句(これも良い句!)に阻まれ、2位で敗者復活にまわることとなりました。大切な想い出を詠んで、「この句で1位をとらなければならない」とおっしゃっていた横尾さんは、苦笑いすらできず、本当に悔しかったのだと思います。でも、俳句として体裁を整えることより、想いがほとばしるような横尾さんの渾身の俳句が、本当に嬉しかった。敗者復活できるようにお祈りしています。大丈夫 きっと君は強いから!*1

 

*1:Kis-My-Ft2「負けないで」