みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

良いニュースは小さい声で語られる ―――9月22日横尾さんの俳句に寄せて

9月22日のプレバト!は「47都道府県ふるさと戦」と銘打ってその県の観光名所の写真をもとに俳句を詠むというもの。そのうえ、1位に選ばれたら県公認の観光ポスターになるというご褒美付き!横尾さんの俳句がポスターになるかもしれないっていうこと?すごい面白そう!と思ってワクワクしながら番組を見ました。

 

しかし、番組見始めてすぐに気づいた、写真俳句の奥深さに。俳句だけの評価とは違って、写真と俳句を取り合わせた相乗効果が生み出されなければならない。写真の説明になっていてはダメだし、写真からかけ離れてしまってもダメ。さらに観光ポスターに載せるということで、その地を魅力的に見せなければならない。発想を飛ばすことを得意とする横尾さんの俳句は、果たして写真俳句向きなのか?順位が発表されて夏井先生の解説が入るたびに顔をしかめてゆく横尾さんが詠んだ俳句は…

 

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2022.9.22 写真俳句「中州の屋台」

 

豚骨の湯切り 良夜のご報告

 

福岡県5位

季語…良夜(秋)

湯切り…茹で上がった麺を鍋から引きあげ、水気を切る作業

良夜…月の明るい夜

 


まずは、横尾さんお得意の発想を飛ばした俳句だと思いました。でも、発想を写真の外に飛ばすのではなく、写真の中の登場人物の物語に発想を飛ばす。会社帰りに屋台で一杯飲むサラリーマン。部下が上司に、結婚なのか子どもが産まれるのか、自身の慶事を報告している。その傍らでは屋台の主人が、手際よくシメの豚骨ラーメンの湯切りをしている。空には月が輝いていて、秋の澄んだ空気があたりを包んでいる…。「ご報告」だけではもちろんその内容はわからないけれども、絶対に慶事なのだとわかる言葉の取り合わせが見事だと思いました。

 

しかし結果は、「湯切り」の語感が強くて、季語の「良夜」が霞んでしまうという指摘で最下位の5位。しかし、先生から「写真俳句として将来性を期待」と言っていただきました。きっと横尾さんのことだから、すぐに今日の反省を取り入れて軌道修正して、素敵な俳句を詠んでくださると思います。今回は茨城、福岡、大阪、福島の4府県でしたが、第2弾期待しています。そして我が故郷よ、今すぐ立候補するのです。

 

「良夜のご報告」と聞いて発想するのは最近のキスマイをとりまく、うれしい「ご報告」の数々。玉森さんの2期連続のドラマ、藤ヶ谷さんと北山さんの舞台、千賀さんのドラマ、宮田さんのMC就任、二階堂さんと横尾さんのバラエティ番組出演、そして玉森さんと千賀さんのドラマ両方にキスマイの主題歌起用…。まだまだ残暑厳しく、台風も来たりして、全然「良夜」じゃないけれど、毎日のように届く「ご報告」を幸せな気持ちで聞いています。自分の生活は、ラーメン食べるような、庶民的で、代わり映えしない日々だけど、そこにもたらされる嬉しいご報告が、白黒の日々をカラフルに染めてくれているような気がします。

 

そして、村上主義者(村上春樹の小説の愛読者の呼称)の私としては、この俳句から思い出すのは『ねじまき鳥クロニクル』の「良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られるのです。」という一節。主人公が失踪した妻を取り戻すために巨大な「悪」と対峙する過程で、このように忠告されます。その意味するところが小説内で語られることはないのですが、理不尽な仕打ちの中にあっても、自暴自棄や投げやりになってはいけない。良いニュースの兆しを逃してしまうから…そういう意味だと解釈しています。


ちょっと今年は仕事に押しつぶされそうになっているのですが、キスマイに関する良いニュースだけは聞きのがさないようにしたいです。さしあたってプレバトの次回予告に横尾さんが映っていたのだけは見逃さなかった!