みかんいろの月

Kis-My-Ft2の横尾さんがダイスキデス。

新しい季節がそこまで来てる ―――3月3日横尾さんの俳句に寄せて

3月3日はひなまつり。男3兄弟だからひなまつりには縁がないけれど、いつぞやのANNPで、ひなまつりにお母さんにお菓子をあげると語っていた横尾さんが、「おもちゃ屋雛人形」というお題で何を詠むのか、楽しみにしてプレバトを見ました。

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2022.3.3 お題「おもちゃ屋雛人形

 

春夜のおもちゃ屋 プラレールの やわやわ

 

名人8段昇格

季語:春夜(春)

プラレールタカラトミーから発売されている電車の玩具

やわやわ…やわらかなさま。また、電車を連結する時の掛け声としても使われる。

 

 

まずは「やわやわ」というオノマトペに心をつかまれました。電車を繋げる時の掛け声であることは知らなかったのですが、春の夜の少し暖かな空気や、夜になって電池が減ってきたプラレールがゆっくり走っている様子とも重なって、良い表現だと思いました。破調で字余りではありますが、しゅん「や」、おもちゃ「や」、「や」わ「や」わ、と韻を踏んでいるので、美しい調べになっています。「プラレール」という、商品名だから俳句に詠まれることはあまりないけれど、知らない人は少ない言葉を使ってきているあたりは、さすがの言語センスを感じます。おもちゃ屋では雛人形のフェアをやっているけれど、そこには目もくれず、プラレールが動くのをじーっと見ている渉少年、夜におもちゃ屋に来ているわけだからお父さんやお母さんも一緒にいて、もしかしたら卒業祝いや入学祝いに何か買ってあげると言われたのかも…という幸せな家族の情景が目に浮かびました。

 

キスマイの曲でオノマトペといえば、「ルラルララ」。説明はないけれど、歌詞に「朝の風は春の中」とあるので、春の朝のやわらかな光や風を表現しているのだと思います。それから「サクラヒラリ」の「ひらり 君のもとに春が来た」。「Brand New Season」の「季節を知らせる花びらが ひらひら舞い散るこの先に」。どれも春の歌です。

 

人見知りの私にとって、春は本当に嫌な季節。うちの職場は4月1日が異動日なので、お世話になった人、頼りにしていた人、仲が良かった人はみんな春に去っていきます。4月からのことを考えると恐ろしくて、足がすくんでもう1歩も踏み出せないような気持ちになっているのですが、やわやわ、ぽかぽか、そよそよ、さらさら、ひらひら…春は楽しいオノマトペがたくさんある、美しい季節だということを、横尾さんの俳句が思い出させてくれたような気がします。別れは悲しいけれど、去っていく人とも、新しく来る人とも「やわやわ」と繋がっていこうと思います。だって私たちは「繋がりに動かされ生きている」*1のだから。

 

 

*1:Kis-My-Ft2「ルラルララ」より